
[問11]パーソナリティ障害群
2019.11.21
① グルタミン酸は抑制性神経伝達物質である。
② 活動電位は樹状突起を通して標的に送られる。
③ 無髄線維では有髄線維より活動電位の伝導速度が速い。
④ シナプス後細胞の興奮性シナプス後電位は「全か無かの法則」に従う。
⑤ 1つの神経細胞における個々の活動電位の大きさは刺激の強さにかかわらず一定である。
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この問題には正解できましたか?本記事では正答に最低限必要な知識をざっくりと解説しました。
はじめに、この問題のポイントは以下の通りだよ。
イメージと合わせて神経細胞の生理について覚えよう!
ニューロン(神経細胞)の仕組みは「デジアナ変換」で覚えよう!
そして、この記事の目次は以下の通りだよ。
この記事の目次
まずはそれぞれの選択肢についてざっくり解説するよ。
誤り① グルタミン酸は抑制性神経伝達物質である ではない。
グルタミン酸は「興奮性神経伝達物質」で「抑制性神経伝達物質」ではないよ。
誤り② 活動電位は樹状突起を通して標的に送られる だけを通るわけではない。
活動電位は送り手ニューロンの樹状突起、軸索、終末ボタンを通って、受け手ニューロンの樹状突起に送られるんだ。以下の図でイメージをつかもう。
ちなみに、終末ボタンの間には数万分の1mmほどではあるが間(シナプス間隙、シナプスかんげき)が空いていて、電気信号(活動電位)は通ることができない。
そこで、電気信号を化学信号(神経伝達物質)に置き換え、それをシナプス間隙に放出させ、次のニューロン(シナプス後細胞)に受け取らせることで、伝達していくことになるんだ。
このようなニューロンの仕組みをデジタル(電気信号)からアナログ(化学信号)へ変換する「デジアナ変換」にたとえることがあるよ。
誤り③ 無髄線維では有髄線維より活動電位の伝導速度が速い 遅い。
無髄線維ではとなり合った膜の部分に順番に伝導していくから時間がかかるんだ。一方、有髄線維ではランビエ絞輪(髄鞘と髄鞘の間のくびれ)部分だけで伝導が起こるから伝導速度が速くなるんだよ。以下の図でイメージをつかもう。
1つ1つ順番に伝導するより、跳躍するように飛び飛びで伝導(跳躍伝導)した方が速く伝わるんだね。
誤り④ シナプス後細胞の興奮性シナプス後電位は「全か無かの法則」に従う。
まず、活動電位を発生させていない時のニューロン(静止ニューロン)から活動電位が生じたとき、「ある一定以上の強さの刺激が与えられた時に反応が起こる」「一定以下の刺激では反応は起こらない」「活動電位が起きたらいつも同じ大きさ」という法則に従うんだ。それを「全か無かの法則」というんだよ。
そして、興奮性(または抑制性)シナプス後電位は、大きさが段階的に変わる反応(段階的反応)を起こすので、「全か無かの法則」には従わないんだ。
これらを流れにして整理すると以下の通りになるよ。
(1) 送り手ニューロンから「全か無かの法則」にしたがった電気信号(これをAとしよう)が伝わってくる。
(2) 受け手ニューロンがそれを受け取ると、段階的な電気信号(興奮性または抑制性シナプス電位:これをBとしよう)に変換される。
(3) Bは受け手ニューロンの軸索内でAに変換される
(4) Aが他のニューロンに伝わっていく、の繰り返し。
以下の図でさらにイメージをつかもう。
正しい⑤ 1つの神経細胞における個々の活動電位の大きさは刺激の強さにかかわらず一定である。
「活動電位が起きたらいつも同じ大きさ」という「全か無かの法則」を押さえていれば正答できる問題だね。
この問題のポイントは全154問のざっくり解説記事完成後に執筆予定です。
イメージと合わせて神経細胞の生理について覚えよう!
ニューロン(神経細胞)の仕組みは「デジアナ変換」で覚えよう!
公認心理師・臨床心理士の勉強会
くわしい解説はこちらがおすすめだよ。解説内容を参考にさせていただきました。
早いシナプス伝達と遅いシナプス伝達
|Introductory Cell Biology
興奮性と抑制性シナプス伝達についての解説はこちらがおすすめだよ。解説内容を参考にさせていただきました。
解説をとじる
解説わかりやすくて助かります。
ありがとうございます。
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解説が流石です。生化学も指導しておりますが、あっぱれな説明です。恐れ入りました。