[問3]心理学の3大潮流
第2回公認心理師試験[問4]検査法を開発した人物
2019.11.18
問4 普通教育に適する子どもとそうでない子どもを見分けるための検査法を最初に開発した人物は誰か、正しいものを1つ選べ。
① A.Binet
② D.wechsler
③ E.Kraepelin
④ F.Galton
⑤ J.Piaget
解答をひらく
\ 正解は① /
この問題には正解できましたか?本記事ではこの問題の解説を書きました。ざっくりとこの問題について理解したい方はぜひ記事をご覧ください。
はじめに、この問題のポイントは以下の通りだよ。
検査法の歴史を押さえよう
人物名を読めるようにしよう
そして、この記事の目次は以下の通りだよ。
この記事の目次
ざっくり解説するよ
まずはそれぞれの選択肢についてざっくり解説するよ。
正しい① A.Binet(アルフレッド・ビネー)
1905年にA.BinetとT.Simon(テオドール・シモン)が世界で初の知能検査である「ビネー・シモン式知能検査」を開発したんだ。
誤り② D.wechsler(デイヴィッド・ウェクスラー)
D.wechslerがウェクスラー=ベルヴュー(勤めていたニューヨークの病院名)知能検査を開発したのは1939年だよ。
誤り③ E.Kraepelin(エミール・クレペリン)
これはひっかけ問題だね。E.Kraepelinは検査を開発した人ではなくて、研究の中で1桁の連続加算作業にパーソナリティが反映されると考えた人だよ。
内田クレペリン検査はこの研究を基にして、内田勇三郎(うちだ ゆうさぶろう)が開発した、日本の心理検査なんだ。
誤り④ F.Galton(フランシス・ゴルトン)
F.Galtonは検査を開発した人ではないんだ。従兄弟であるチャールズ・ダーウィンの進化論の影響で遺伝について研究し、1883年に優生学を提唱した人だよ。
誤り⑤ J.Piaget(ジャン・ピアジェ)
J.Piagetは検査を開発した人ではないんだ。子どもの認知発達について研究して、「認知発達段階説」を提唱した人だよ。
ポイントを解説するよ
この問題では知能検査が誕生した時系列を押さえておくことがポイントだよ。
選択肢の中では、1905年にビネー(・シモン)式知能検査が誕生してから34年後にウェクスラー知能検査が生まれたんだね。
そこでかんたんに代表的な知能検査の歴史年表を以下に記すよ。
※ 何度も改訂されている知能検査は最初と最新のものだけを年表にまとめています。
年代 | 重要人物 | 出来事 |
1905年 | アルフレッド・ビネーとテオドール・シモン | 「ビネー・シモン式知能検査」が開発された。 |
1912年 | ウィリアム・シュテルン | 「知能指数」と「知能年齢」という指標を提唱した。 |
1912年 | アーサー・オーチス | 集団式知能検査を開発した。 |
1916年 | ルイス・マディソン・ターマン | 「スタンフォード改訂増補版ビネー・シモン知能測定尺度」が発表された。 |
1917年 | ロバート・ヤーキーズ | 陸軍用の知能検査が発表された。 |
1919年 | 鈴木治太郎 | 「実際的・個別的智能測定法(鈴木ビネー知能検査)」が発表された。 |
1936年 | 田中寛一 | 「田中B式知能検査」が発表された。 |
1939年 | デビッド・ウェクスラー | 「ウェクスラー・ベルビュー知能検査」が発表された。 |
1947年 | 田中寛一 | 「田中ビネー知能検査」が発表された。 |
1949年 | デビッド・ウェクスラー | WISCが発表された。 |
1955年 | デビッド・ウェクスラー | WAISが発表された。 |
1966年 | デビッド・ウェクスラー | WPPSIが発表された。 |
1986年 | ロバート・ソーンダイク(有名なエドワード・ソーンダイクの孫)ら | 「スタンフォード・ビネー知能尺度第4版」が発表された。 |
2003年 | 田中教育研究所 | 「田中ビネー知能検査V」が発表された。 |
2003年 | デビッド・ウェクスラー | WISC-Ⅳが発表された。 |
2008年 | デビッド・ウェクスラー | WAIS-Ⅳが発表された。 |
2010年 | 日本版WISC-IV刊行委員会(上野一彦、藤田和弘、前川久男、石隈利紀、大六一志、松田修) | 日本語版WISC-Ⅳが発表された。 |
2018年 | 日本版WAIS-IV刊行委員会(上野一彦、石隈利紀、大六一志、山中克夫、松田修) | 日本語版WAIS-Ⅳが発表された。 |
ざっとまとめてみたけど、知能検査には1世紀もの歴史があるんだね。
まとめ
A.Binet(アルフレッド・ビネー)は知能検査の創業者だよ
E.Kraepelin(エミール・クレペリン)は検査を開発した人ではなくて、研究の中で1桁の連続加算作業にパーソナリティが反映されると考えた人だよ
参考資料だよ
公認心理師・臨床心理士の勉強会
くわしい解説はこちらがおすすめだよ。解説内容を参考にさせていただきました。
内田クレペリン精神作業検査|心理学用語の学習
内田クレペリン精神作業検査についてわかりやすくてまとめられているよ。
知能検査|Wikipedia
知能検査の全体像を把握したいならWikipediaが役立つよ。
21世紀における知能検査の動向|第7回「日本テスト学会賞」記念講演およびワークショップ(PDF)
ウェクスラー知能検査を中心に、知能検査の動向についてまとめられているよ。
解説をとじる
\ 同じカテゴリーの記事 /