[問12]神経細胞の生理
第2回公認心理師試験[問13]人の行動における概念
2019.11.23
問13 多くの人がいると、一人のときにはするはずの行動が生じなくなる傾向に関連する概念として、正しいものを1つ選べ。
① 社会的促進
② 集合的無知
③ 集団極性化
④ 情報的影響
⑤ 傍観者効果
解答をひらく
\ 正解は⑤ /
この問題には正解できましたか?本記事では正答に最低限必要な知識をざっくりと解説しました。
はじめに、この問題のポイントは以下の通りだよ。
各概念の関係性を明確に把握しておこう!
そして、この記事の目次は以下の通りだよ。
この記事の目次
ざっくり解説するよ
まずはそれぞれの選択肢についてざっくり解説するよ。
誤り① 社会的促進 ではないよ
社会的促進とは、集団での方が個人で行うよりも優れた成績を収めるという現象のことで、この問題とは逆の現象だよ。
1898年にTriplett(トリプレット)が自転車レースの分析や釣り竿のリール巻きを使った実験を行って、この現象を証明したんだ。ちなみに、これは社会心理学の中の最古の実験的研究とされているよ。
誤り② 集合的無知 ではないよ
集合的無知(多元的無知)とは、集団の多くの成員が、自分自身は集団規範を受け入れていないにもかかわらず、他の成員のほとんどがその規範を受け入れていると信じている状況のことだよ。
「裸の王様」の物語は知ってるかな?本当は王様の服は誰にも見えていないにもかかわらず、「バカ」と思われるのが嫌なので,みんな王様の服を褒めてしまう。結果的に、「みんなには王様の服が見えている」と思ってしまって、だれも「王様は裸」とは言えない状態になってしまう。
このような状態を「集団的無知」と呼ぶんだ。
誤り③ 集団極性化 ではないよ
集団極性化とは、集団で話し合いを行なうと、個々人の意見が極端な方向へ強くなる現象のことだよ。話し合いでの決定内容が、よりリスクが高いものになったり(リスキーシフト)、逆により安全志向に傾いたり(コーシャスシフト)するんだ。
誤り④ 情報的影響 ではないよ
情報的影響とは、他者から得た情報を客観的事実の基準としてとらえるというものだよ。これは多くの人の意見が一致する場合に、「多くの人の判断や行動は正解に近い」という信念に基づいていて、これを基により正しい行動をとろうとするため同調が生じるんだよ。
正しい⑤ 傍観者効果 だよ
傍観者効果とは、一人の時にするはずの行動が生じなくなる傾向のことだよ。
1964年、キティ・ジェノヴィーズという女性が帰宅途中に殺害される悲しい事件(キティ・ジェノヴィーズ事件)がありました。この事件で最もメディアの目をひいたのが、殺害されるまでの35分もの間、38人もの人々がその現場を見たり彼女が助けを求める声を聞いたりしていたにもかかわらず、誰一人として警察に通報しなかったんだ。
この事件に興味を持ったLatane(ラタネ)は、困っている人の周囲に多くの人が存在しているのに、誰も助けようとしない現象を「傍観者効果」と名付け、多くの人が存在しているから援助行動が抑制されることを明らかにしたんだ。
ポイントを解説するよ
この問題のポイントは各概念の関係性を明確に把握していることです。そこで各概念の関係図をつくってみました。
正確にはこのように並べられないかもしれませんが、概念の意味的に違和感なく関係性を理解するには役立つのではないでしょうか(より良い関係図がありました教えてください…)。
まとめ
各概念の関係性を明確に把握しておこう!
「多くの人がいると、一人のときにはするはずの行動が生じなくなる傾向に関連する概念」は傍観者効果だよ!
参考資料だよ
公認心理師・臨床心理士の勉強会
くわしい解説はこちらがおすすめだよ。解説内容を参考にさせていただきました。
集団極性化|心理学用語集 サイコタム
心理学用語がまとまっているよ
同調|心理学用語集 サイコタム
同調について分かりやすくまとまっているよ
「裸の王様」のメカニズムを実験で検証|日本社会心理学会
集団的無知について分かりやすくまとまっているよ。
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